翻訳メモリの使用

現在は、翻訳メモリを用いて翻訳作業を行なっています。現在使用中の翻訳メモリは、SDL Trados Studio 2011 および SDL MultiTerm 2011 Desktokp、memoQ 6.2 また、Translation Workspace です。以下は、翻訳メモリをまだ使用していなかったときの作業手順ですが、翻訳メモリの使用によって省ける作業を別にすれば、同様の手順を踏んでいます。

原稿を受け取ったら・・・

おおまかに目を通し、難易度を見定め、締め切りまでにできる仕事かどうかを判断する。無理であるなら躊躇せずにお断りの連絡を入れる。

手順1 - 内容の大まかな理解・調査分野の識別

印刷した翻訳原文を読み通す。原文の主な考えや、考えの流れをつかむようにし、どのような文体が適切かを判断する。表記の確認が必要と思われる地名、人名、組織名をピックアップする。訳語を特定する必要があると思われる専門用語、また背景調査が必要と思われる人物、組織、出来事などの項目もリストアップする。

手順2 - 前処理

1. 原稿を秀丸エディタに落とし込み、訳抜け防止のため一文ずつに分ける。考えの流れを意識するため、段落と段落の間は行間より3〜4行ほど余分に空ける。
2. 1をコピーし上書き対訳用の画面を作る。正面モニターに原文 (左) と上書き対訳用 (右) の二つの画面を横に並べる。
3. 辞書検索Logophileの画面と、Web検索およびオンライン辞書のためのブラウザを右のモニターに開く。

手順3 - 調査

手順1で拾い上げた項目の正確な表記を調べる。関係する出来事の経緯、組織の名称や構造、登場人物の経歴、立場など必要と思われる情報を洗い出す。背景情報は直接訳出することがなくても、原文の理解を助け、適切な訳語を選択する助けにもなる。専門用語の意味、また専門分野特有の訳語などを、専門の辞書で調べる。これらは翻訳作業 (手順4) に入っても必要に応じて行う。

手順4 - 翻訳作業

1. 正面モニター内右に配置した画面 (手順2-2) の原文の下に翻訳文を書いていく。左に置いた原文と見比べ訳抜きを防ぐと同時に、考えの流れを確認する。
2. 適切な訳語を探すために、秀丸エディタ上からマクロ機能を用いてLogophileで串刺し検索を行う。その際、英英辞典等からまず、原語で意味をつかむようにする。どの辞書からもぴったりくる言葉が見つからないときには、原文を正確に理解していることを再確認してから、類語辞典等で適切な訳語として使えそうな言葉を探す。
3. 原文に忠実であることをまず目指す。もし、逐語的な訳が不自然な日本語になるなら、原文から離れ、意味を正確に伝える意訳を試みる。意訳した場合、訳者コメントにその理由を明記する。
4. 長い原文をそのまま訳すと意味が取りづらくなるなら、文を分ける。その際、句や節と特定の語句との修飾関係に注意する。また、考えの流れを明確にするため必要なら接続詞、代名詞を補足する。しかし、補足語は最低限に止める。
5. Text to Speechで、原文・訳文共に読み上げ、訳抜けがないか、表現は正確で自然か、などの確認をする。

手順5 - 見直し作業

1. 時間の許す限り見直し作業は翻訳作業終了の翌日に行う。訳文を紙に印刷して推敲する。正確な訳となっているか、自然な訳文となっているか、スタイル・ガイドに従っているかを確認する。すこしでも違和感を覚えるところは、注意深く再検討する。意味や考えの流れが明確か、主部と述部は離れすぎていないか、文章内で主語が統一されているか、修飾関係は正しいか、時制が正しく意識された訳になっているか、自然な訳語が選択されているか、など。
2. 再度、Text to Speechで、原文・訳文共に読み上げ、最終確認を行う。

手順6 - 納品

ワード・ファイルに落とし込み、書式を整える。訳者コメントを作成する。ファイル形式、ファイル名の指定があれば、それに従って商品を整える。Eメールで翻訳商品、及び納品書を送る。やり直しに備え待機。

作業能力

■作業量

英語>日本語
●世界情勢、政治経済 等●
英原文約900文字の仕事
1日目用語・背景調査(3時間)
同日翻訳600文字(6時間)
2日目翻訳300文字(3時間) 推敲・校正(2時間)
3日目予備日

日本語>英語
●世界情勢、政治経済 等●●機械工学●
日原文約1500文字の仕事原文約1200文字の仕事
1日目用語・背景調査(2時間)1日目用語・背景調査(4時間)
同日翻訳1000文字(7時間)同日翻訳500文字(4時間)
2日目翻訳500文字(3時間)2日目翻訳700文字(5時間)
同日推敲・校正(2時間)同日推敲・校正(2時間)
3日目予備日3日目予備日

■タイピング速度
日本語ワープロ検定試験の1級 速度模擬問題  11分40秒
(引き続き速度アップに努めています)

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